東海大学
2010/01/02 大学選手権
12:15KO  国立
1st 2nd 1st 2nd
0 2 T 2 1
0 2 G 1 1
0 0 PG 0 0
0 0 DG 0 0
Referee: 藤 実
TJ1: 戸田 京介
TJ2: 河野 哲彦
TJ3: 藤原 守
交代
10 21 高島 (40min.)
2 16 高橋 (59min.)
7 19 高橋 (59min.)
9 20 古岡 (61min.)
交代
11 22
8 18
12 21
2 16
3 17

試合コメント

長い、長い戦いが終わった瞬間だった。2010年1月2日、大学選手権準決勝対東海大。80分間の激闘の末、スコアボードに書かれた数字は14-19。国立に鳴り響いたノーサイドの笛は松本組の終焉を告げるものであった。決勝の舞台に立つために、日本一になるために、足りなかった1トライ。松本組にとっては小さいようで、大きすぎる残酷な数字であった。

この日の塾は何かが違った。重量を生かした相手のブレイクダウンに苦しむだけでなく、塾の生命線でもあるタックルは不発、さらに「ボールを動かす」塾のラグビーは見られない。強い縦突破を武器とし、ミックスキッカーとして前戦効果的に働いていた増田(環3)の痛すぎる欠場、さらに司令塔である和田(政3)の試合中の脳震盪の影響は確かにあったが、それと同時にキック、パスとミスが目立ち、エリアを取れず終始自陣での展開となる。相手は昨年度も国立の舞台に立った、リーグ戦王者。チャレンジャーである塾が自分たちのラグビーでぶつからなければ、厳しい戦いになるのは必然であった。30分、自陣22mラインからの東海大のラインアウト。その密集から相手fwd陣に二度の突破を許し、最後は相手LOに先制トライを献上した。さらにその3分後。タックルが甘くなると、相手WTBに突破を許し、右サイドのディフェンスが完全にいなくなると、走りこんできた15番に狙われ2トライ目を許す。絶対に負けられない、その思いが焦りとなって表れる。結局攻撃のチャンスが一度もないまま、0-12であっという間に前半40分を折り返す。

「得点を気にせず」、1年間積み上げた「フィットネスで勝負する」こと。指揮官からこの言葉を受け取った後半、除所に塾らしい豊富な運動量と、素早いパス回しで、東海大のディフェンスを翻弄し始める。5分、この日初めての大きなトライチャンスを作ったのは三木(経3)。パスを受け取ると、二人のタックルをかわし力強いランを見せる。トライにこそ繋がらないものの、塾の逆襲を予感させるものであった。早いうちに1トライが欲しい塾だったが、またしても流れを掴んだのは東海大。18分、ブレイクダウンでターンオーバーされると、そこから右WTBに抜けられ、最後は裏に蹴り出され痛すぎる3トライ目を許してしまう。このまま終わるわけにはいかない。塾フィフティーンの思いが形となって表れたのは23分。松本主将(環4)のタックルを受けながらの突破から、SH藤代(環4)、和田の交代に入ったSO高島(商3)がボールを早くつなぎ、最後はLO立石(総3)が縦に突破し、1トライを奪った。FB小林(経3)がゴールも決め、7-19となる。さらに30分、松本の好チャージを起点に、ゴール手前でスクラムを獲得すると、NO.8小澤(総3)が力強くそのままボール持ち込み、たたきこむ。難しい角度のゴールも鮮やかに決め、逆転に向け完全に勢いに乗る。残り10分で5点差。塾フィフティーン、見守る部員、そして塾ファンが一つとなり、「劇的な結末」を信じてやまなかった。しかし、東海大の重い、堅いディフェンスを崩すことはできなかった。ロスタイムに作った2度のチャンスもノットリリースザボール、スローフォワードとペナルティーを取られ、たった一つのトライが遠かった。そして塾のペナルティーを取る笛と同時に国立に鳴り響いたノーサイドの笛。こぶしを突き上げる東海大フィフティーンの横で、タイガー軍団は崩れ落ちた。

大学選手権ベスト4。2009年度松本組は塾蹴球部の長い歴史において、栄光の記録を残すことは出来なかった。けれども、松本主将を中心に数少ない4年生で作り上げた今年のチームは長い歴史の中で忘れることの出来ない素晴らしいチームとなった。他校のように派手な選手や、肩書を持つ選手はいなかったが、春から掲げて来たナチュラルラグビーと共に、塾らしい気持ちのこもったタックルを幾度となく見せ、強豪相手に挑み続けて来た。多くの逆境を経験し、ここまでの道のりは決して楽なものではなかったが、100人以上の部員が一つの思いを共有した。「生まれつきのものではなく、努力で結果を出す」。指揮官の言葉通り、どこのチームよりも真摯に、そして多くの練習を積んできた。日本一になるための努力、姿勢は確かに備わっていた。それでも松本組の思いは届かなかった。

ノーサイドの瞬間、泣き崩れる後輩とは対照的に、しっかりと前を見据えグラウンドに立つ4年生の姿があった。それは一年間全力を尽くし、全てを出し切った4年生のどこか達成感に溢れる姿であった。「夢は来年後輩に託す」(松本主将)、「この1戦を忘れずに」(川村)、「夢を諦めないで欲しい」(濱本副将)。道半ばで途絶えてしまった4年生の思いは、ここまで共に戦ってきた多くの後輩に託された。そして多くの後輩もその思いを既に胸に抱え、「借りを返す」ことを誓った。松本組の一年間に及ぶ長い長い「挑戦」は今日幕を閉じた。

林監督
リーグ戦の覇者である強い東海大学、大きくて重い相手に、小さくて軽い自分立ちがどう戦うかということでチャレンジャーとして臨んだわけですけれども、前半は40分間東海のゲームをしてしまったなという印象です。後半はスコアを気にすることなく、慶應のボールをもっと動かすラグビーをしようということでしたが、トライ一つ分足りなかったですね。予想以上に体格差によるブレイクダウンでのテンポの悪さに苦しみました。 (前半の苦戦の原因)選手が思った以上にかたくなっていたという印象です。単純に重い人から順目へというラグビーを慶應はしているのですが、今日は順目じゃない方に戻ったりだとか、練習でやっていないことをやっていました。相当焦っていたのかなと思います。ブレイクダウンのプレッシャーに加えて、そういう焦り、緊張があったと思います、(ハーフタイムの指示は)リーグ戦の覇者が、自分たちのラグビーを出し続けていた。完璧なゲームをされていたら絶対に勝てない。後半はスコアを気にすることなくボールを持って攻めること、東海は後半失速する時間があるから、今までずっとやってきたフィットネスで勝負しようと伝えました。(和田選手の交代について)脳震盪でした。後半入れた高島はアタッカーでボールを動かせと伝えて入ってもらいました。彼が入ってボールも動いたのですが、もっともっとチャレンジ出来る選手だと思います。(これでシーズンが終わったが)本当に選手が一年間頑張ってくれました。勝つために低いタックルとボールを動かしていくラグビーをしようと、持って生まれたものではなく努力で結果を必ず出せると、そういうチームを目指していたけれども、最後道半ばで終わってしまって本当に残念です。選手が本当に頑張ってくれました。ありがとうございました。

松本主将
今日の試合を冷静に振りかえってみると、慶應のラグビーが前半は出来なかったなという印象でいます。もっと攻めてボールを動かすラグビーがしたかったなというのが素直な感想です。後半は自分たちのラグビーが出来たかなと思います。日本一という夢を達成できずに終わってしまったんですけれども、この夢は来年後輩に託します。ありがとうございました。(ブレイクダウンの印象は)二人目のサポートが東海の方が早かったという印象です。前半プレッシャーを受けて試合の中で修正出来ればよかったなと思っています。(全て終わってしまった今の心境は)優勝を目標にずっと頑張ってきたので、悔しいっていう思いはあるんですけど、最後グラウンドを出てやれることは全部やれたという気持ちになれました。もう一個勝つために何が必要なのかを来年3年生を中心に考えて欲しいです。(一年間やってきたものを今日全て出しきれたか)どうなんですかね。今は考えられないです。でももっと自分たちのラグビーをやれたかなという部分もありますし、後半は自分たちのラグビーが出来たなっていう部分もあるので複雑なんですが、でも一年間本当に充実していましたし、やれることは全てやっての今日の負けなので、本当に来年頑張ってほしいなと思います。(同期に言いたいことは)もう一個勝ってもう少しみんなでラグビーする時間を増やしてあげたかった。そういった点4年生だけでなく出れなかった人には本当申し訳ない気持ちでいっぱいです。(後輩には)僕らは去年の悔しさがあってここまでやってきたのですが、もう一歩足らなかったので、もう一回去年と今年の悔しさを糧にして欲しいなと思います。

川邊主務
(今の心境は)やりきったなっていう感じですね。なんか負けるつもりじゃなかったので、勝つと思って今日は試合に臨んでいたので、正直複雑なんですけど、でも勝てなかったということは東海大学の方が一つ上だったのかなと思います。一年間いろんなことあったけど、自分たちの出来るベストなことはしてきたので、それにおいて一切悔いはないです。(どういう心境で試合を見ていたか)最初やられていたんですけど、うちのラグビーが出来てなかっただけで、うちのラグビーをしっかりすれば問題ないと思ってて。前半0-12だったけど、不安はなくて、後半風上でうちのやりたいことやればいけるかなって思ってました。後半うちのペースになって、勝てるって確信していたんですけど、やっぱり最後まで東海の方か一段上のラグビーをしていましたね。悔しいですけど、最後はやりきった気持ちでいっぱいで、涙はまだ出ないです。やれることをやったっていう達成感があります。(後輩に伝えたいことは)とりあえず借りを返してもらわないと。3年生もいっぱいいるのでしっかりチームを作りなおして、必ず勝ちあがって欲しいですね。澤野っていう主務がしっかりチームをまとめてくれると思うのでそれに期待して、今年負けた東海とか帝京とかに借りを返して良いシーズンにして欲しいですね。

川村選手
今日の試合は)前半取られ過ぎた印象があったが、フォーカスしたところは出来た。ブレイクダウンで、後手に回ってしまって、自分達のラグビーができなかった、後半上手く修正できてトライも取れたが。(川村選手と言えばスクラムのコメントが多かったが)ここまでやって来たことは出せた。間違っていなかったと思える。セットプレーはピースはできていたが、接点が課題ですね。(後輩に伝えたいことは)4年になったらあっという間の1年間になる。この一戦を忘れずにやれることをやって欲しい。とりあえず怪我をしないように。最後にグラウンドで終われるようにして欲しい。

金子選手
(今日の試合は)自分達のラグビーができなかったに尽きる。(その原因は)タックルが決まらなかった。ブレイクダウンも強くかった。スクラムは組み方が色々あって…。(前回はリザーブでしたが、この試合にはどういう気持ちで入りましたか)絶対に決勝に繋げて、4年生と練習する時間が欲しいと思いました。けど、緊張してしまって、後悔が残る試合です。(それは途中交代ということもありますか)脳震盪で体がしびれて記憶もあまりない。最後にフィールドにいなかったのが悔しい。(4年生に何か伝えたいことは)今まで支えてくれたのは4年生というのは間違いない。恩返しの為にももう優勝しかない。今から練習します。(来年前3で残るのは金子選手だけになりますが)もっと良いチームにするんで、見ていて下さい。

廣畑選手
(今日の試合を振り返って)悔いはないです。(それは今日の為に最高の準備をしたからですか)それもありますね。(スクラムは押せていたと思いますが)それでもターンオーバー出来ないと意味がない。(ブレイクダウンが強かったですね)ブレイクダウンが強いというより、SHの捌きが早くて翻弄されたという印象ですね。(4年間を振り返って)1番自分を育ててくれたコーチ、1~4年の時のコーチにはお世話になりました。今日は同期に申し訳ないです。(後輩に伝えたいことは)次のことを考えて欲しい。昨年はもうちょい早く終わって、色々考えることができた。今の下級生も4年として秩父宮や国立に立つ時期は必ず来るので、悔しんでいる暇があれば練習して欲しい。

村田選手
(試合を振り返って)今までの試合は前半にリードしていたりして、今日は前半リードされていたりしていつもと違うような感じはあったんですけど、春の明治戦では追いついていたりもしていたんで特に変な感じとは思わなかったんですけど、後半の最初にトライ取られたのが痛かったかなという感じです。(敗因は)前半の入りの部分で受けちゃったところですね。そこで2トライ取られて敗因かなと思います。(試合前のプランは)いつも通り慶應らしいラグビーをするって言ってきたんですけど、前半、受けに回ってしまいました。(東海大の印象は)大きいチームで大きい分走れないと思っていたんで、後半みたいなラグビーがもっと早くからできていれば良かったと思います。(ブレイクダウンについては)停滞したところで相手のプレッシャーを受けてしまって、そこでうまく球出しがいかなかったというのが反省点ですね。(自身の出来は)ラインアウトはそこそこですけど、ブレイクダウンとか受けてしまった部分があって、タックルも多く外されてそこで多く前に出られたりしたので全然です。(1年間を振り返って)一昨年よりも昨年よりもやる気十分で臨んでいた年で自分としても成長できた1年だったのでここで優勝できなかったというのが一番悔しいです。(4年生へ一言)練習でも試合でも引っ張ってくれていて、そんな4年生を勝たせてあげれなかったというのが凄く悔しいんですけど、感謝の気持ちでいっぱいです。

阿井選手
自分の仕事が出来なかったから、こういう結果になってしまったのかなという印象です。(具体的には)タックルとブレイクダウンです。FLはそういうところをしっかりやらなくてはいけないのに、ブレイクダウンでも相手のボールにもっとプレッシャーをかけたかったんですけど。マイボールでも結構絡まれてしまったので。ブレイクダウン速かったですね。二人目のタックルがすごくうまかった印象で、受けちゃったかなと思います。タックルは僕は一番駄目でしたね。(一年間終わってしまいましたが)悔しいですね。悔いのないシーズンにしたかったのですが、悔い残ってしまったので。でも僕はまだ来年があるので、次しっかりリベンジします。4年生に申し訳ない気持ちがあるので、次必ず勝って今年があったから来年勝てたんだという一年にしたいです。

小澤選手
(試合を振り返って)ブレイクダウンが強くて球がうまく出なかったというのが敗因だと思います。(試合の流れを振り返って)前半でディフェンスが悪くて点を取られて、でも後半切り替えてけっこう攻めたんですけど、前半のディフェンスの悪いところで点差離れちゃって今日のゲームは決まっちゃったのかなと。後半最後の追い上げとかは慶應として凄い自信になったと思います。(東海大の印象は)大きくて良いチームだったんですけど、慶應が劣っていたかというとそうじゃなかったと思います。(ハーフタイム中にチームで話し合ったことは)全然自分たちはボール持ってプレーできていないし、自分たちらしくできていなかったのでとにかく自分たちらしくやろうと。(自身の出来は)全体的にボールを持って前に出れたのは良かったんですけど、もっともっともっとですね。来年とかはもっとやらないと。(1年間を振り返って)とてもチーム的に良いチームだったので負けたことは残念なんですけど、自分たちができることは今日の後半にやったので来年に向けて良かったんじゃないかと思います。ただ、今日勝ちたかったというのはあります。(4年生へ一言)本当に今年1年チームを引っ張ってくれて僕たち下級生にとってはやりやすかったので、本当にありがとうございます、お疲れさまですって言いたいです。

藤代選手
前半慶應のラグビーが出来ていなかったと思うので、落ち着いて試合出来たらよかった。(ブレイクダウンでの東海大のプレッシャーは)強いといえば強いんですが、そこで(ボールを)出せるようにしたかったです。(交代した後はどのような気持ちで試合を見ましたか)声を出すとか仲間を信じるしか出来なかった。古岡に代わってすごくテンポ上がっていたので、信じていました。(4年間を終えて)今は整理がつかなくて、悔しいという気持ちしかありません。(後輩たちにメッセージを)悔いのないように。

竹本選手
(試合を振り返って)泣くにも値するプレーが出来なかった。幸い僕たち1,2、3年は来年があるので次は勝って泣けるように頑張りたいと思います。(前半の苦戦の原因は)ちょこちょこした無理なパスをしてしまい、自分のせいで招いたこともあったので、ボールキープした方が良かったんじゃないかなと思います。(後半の2トライに関しては)やっと自分たちのラグビーが出来たなという感じでしたが、遅かったです。(1年間を振り返ってどんなシーズンでしたが)ナチュラルラグビーの下で結果にこだわってやってきました。(4年生に言いたいことは)あわせる顔がないです。来年僕たちの晴れ舞台を見てもらえるように頑張ります。

落合選手
(今日は)慶應のラグビーができなかったという感じです。もう少しBksでいつも通りアグレッシブに行ってもよかったのかなと。(自身のプレーは)増田の代わりに入ったんですが、前に出ることが出来なくて。12番としての仕事が果たせず、責任を感じています。(4年生へのメッセージは)今年3年生で甘えてばかりで、好き放題やらせてもらって。人数の多い3年生をやさしくまとめてくれて、感謝しかありません。(来年度に向けての抱負)今日という日を絶対忘れないで、今日出来なかったことを出来るように1年間努力して、絶対優勝したいです。

三木選手
(残念な試合になってしまったが)トーナメントは勝たないといけないので悔しい。モール、ラインアウトなどのセットプレーは安定していたのだが、Bksのディフェンスで最後に抜かれてしまったそれでも後半で取り返すことはできた。(前半ディフェンスが続く展開になってしまったが)1個1個のブレイクダウンで慶應が後手に回ってしまった。相手のオフェンス力が上回っていた。(後半はいい展開になった)後半20分からけ慶應の時間が来た。自分のトライチャンスもそうだったが、諦めない気持ちが最後に出た。(4年生に向けて)今日の試合を反省して糧にして来年は絶対に優勝する。今の4年生にいい形で見てもらえるラグビーをする。明日からまた気持ちを切り替えてまた練習をしていきたい。
濱本副将
(今の気持ちは)実感がわいていないというのが正直な気持ちです。でも出たメンバーが全力を尽くしてくれたので、その辺に関しては悔いはないです。(どういう心境でゲームを見ていたか)自分たちが出ていたらっていうのは正直考えちゃっていました。今日ほど出たいと思った試合はなかったです。(負けた瞬間の心境は)…何とも言えないです。あー終わっちゃったんだなっていう。(後輩に伝えたいことはありますか)夢を諦めないで欲しい。100人以上部員がいれば試合に出れない人ばっかりなんですけど、それでも限られた夢に向かって頑張ることに意味があるのとおもうので、諦めないで頑張って欲しいなと思います。

慶應スポーツ新聞会
中尾 紗弓